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耳鼻咽喉科臨床 研修ノート

上皮は考える#1 はじめに

研修時代は特に、日常診療の中で不思議に思うことが多々ある。
私は卒業直後に基礎医学教室に入り、神経化学で学位取得後、西村忠郎教授(藤田保健衛生大学板文種報徳会病院)のもとで、一から耳鼻咽喉科診療を勉強し始めた。
当時のメンターであった八木沢幹夫先生から、今のうちに日々の疑問点をメモして貯めておくと将来宝物になるからといわれ、常に白衣のポケットに小さなノートをいれていた。2年で20冊以上になった「宝物」が十分いかされているとはいえないが、その頃から常に疑問に思っていたことの一つが、アレルギー性鼻炎患者でどうして瞬時に大量の鼻水がでるかであった。このような水道の蛇口をひねるようなドラマチックな分泌現象は、関門(チャネル)が開閉することにより制御されているに違いないと漠然と根拠もなく思いこんでいた。大学に講師として戻ってから、パッチクランプによる気道繊毛上皮細胞のイオンチャネルの勉強を一から始めた。
【原典】「上皮は考える」三輪正人著
耳鼻咽喉科臨床 104:12;918-919,2011
を引用改変しています。