ドライスキン、ドライアイと異なり、ドライノーズの疾患概念はまだ不明確である。
花粉症の極期に大量の鼻汁がでているにもかかわらず、乾燥感を訴える方が多くおられる。
我々は代表的な非侵襲的測定方法の一つであり表皮のバリア機能の指標となることが証明されている水分蒸散量の測定を鼻粘膜に初めておこなっており、それにより下記の結果が得ている。
1)鼻粘膜水分蒸散量は、年齢と共に増加する。このことは、鼻粘膜の加齢性変化は分泌低下によりおこるだけではなく、水分の蒸散の亢進の機序が粘膜の加齢性変化にも関与している。
2)スギ花粉抗原による鼻粘膜誘発試験をおこなうと、経時的に鼻粘膜水分蒸散量が変動する。このことから、アレルギー炎症により、粘膜水分蒸散量が増加する可能性が示唆される。
3)生理食塩水やグリセリン、ヒアルロン酸などの保湿剤点鼻あるいは塗布により、鼻粘膜水分蒸散量は一時的に低下する。このような鼻粘膜をコートするような物質により、鼻粘膜バリア機能が亢進する。
4)鼻粘膜上皮には扁平上皮部分および繊毛上皮部分の両者とも表皮と同様フィラグリンが存在していることを確認した。気管支粘膜ではみられず、バリア機能の観点から考えると、上気道は下気道より表皮に近いことが示唆される。