筆者は米国留学中に脳血液関門を専門としているラボで、ヒト脳からとった初代培養内皮細胞を用いた実験をおこなっていた。
内皮には、シアストレス(shear stress、ずり応力ストレス)が常にかかっている。シアストレスは血管の新生やリモデリングに関与し、また動脈硬化や動脈瘤の発生との関連性があることが示唆されている。
近年シアストレスは呼吸でも生じると考えられている。気道上皮でも、呼吸によるシアストレスが、上皮のバリア機能に影響を及ぼし、気道疾患の発現進展を修飾する可能性が考えられ、特に下気道では過換気症候群や運動誘発性喘息などとの関連に関する研究が開始されている。
摘出気管や培養上皮細胞に、我々が開発した拍動流作成可能な流れ負荷装置と培養細胞に適用可能な改良型ウッシングチャンバーを組み合わせたシアストレス解析装置を適用し、流速と周波数を可変することにより、電気的バリアの状態が変化することを見出している。