東京保険医協会から「私と保険医協会」の原稿を依頼されました。
「医師は自由業」であるといわれます。私が最初にその言葉を聞いたのは、ある学会のシンポジウムの打ち合わせ後のざっくばらんな会食時、日本医大呼吸器内科教授だった工藤翔二先生からでした。当時私は大学医局の一歯車として、教授の指示に従い奴隷の様に働くことが自分の将来に繋がると妄信していました。ようやく自身の研究が少しずつ認められるようになり、所属教授以外の諸先生の推薦で毎年シンポジストの依頼があった頃でしたが、数寄屋橋近くのレストランで聞いたその一言に心を動かされたことを覚えております。その「自由業」を実践しようとの思いが3年前の新規開業時あったことは事実です。しかしながら、日本の場合、基本は保険医療です。その保険医療制度を大学では何一つ教えてくれません。このことは、数十年にわたり岐阜県で耳鼻咽喉科の保険審査委員を務めていた父の口癖でもありました。このブログの中の「世の中点数」にも書かせていただきましたが、医学でも医療でもない保険診療には独特のルールがあるようです。保険制度を支える立場から不届き者を取り締まるという考え方は当然ある中、真面目に創意工夫をこらして診療している者が不利益を被る場合もあるかもしれません。医療人それぞれが真実を持っています。その真実の主張の代弁者として保険医協会は大きな頼れる存在であると私は信じております。
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